万貴音東京ツアー、3日目。前半。
怒涛の2日間を過ごした万貴音一行。
後半は見学と観光でした。
ゆとりがあるねー、大丈夫なんかいな。
心配なさるな。
なにせ万貴音、東京という場所にはほとんど行ったことない。
俗に言う「オノボリサン」ですね。
俺は個人的には月1で通ってた過去もありますが、
それはトランペットのレッスンでして。
9割方が日帰り。
5時間かけて東京に行き(当時はひかりに乗ってました)、
1時間のレッスンを受けて、とんぼ帰り。
んな状態で、「オレ、トウキョウイッパイイッタゼ!」なんてこと言えません。
知ってるのは先生の家までの路線だよ。
新宿だって六本木だって、満足に歩けないよ。
んな感じで、東京を何かしら感じてみようとのコンセプトの元、
動いた万貴音でありました。
就寝が遅いにも関わらず(寝たのは30時ぐらいでした)、
朝の9時過ぎには起床していた万貴音(俺は半ば無理矢理起床)。
ギターが無い分身軽にホテルを飛び出したのでありました。
第一の目的地は浅草。
これは敏腕アシスタントHIROKO氏のたっての希望でして。
宿が池袋だったんで、上野から地下鉄に乗り換えね。
ふんふんと電車に乗って出発。
が、小田、暴走。
えー、なんつーか。上野に着いた瞬間に駄々をこねまして。
小田「ちょ、ちょっと降りていい?」
中原「えー…はい。」
上野にて下車、一同は上野公園に足を運びました。
俺がクラシック畑出身だというのは知ってる人は多いかもしれません。
そして、浪人時代を2年続けてたのを知ってる人もそこそこいるかもしれません。
空白の2年に何があったのか。
話は8年前に遡ります。
トランペッターでした。
や、今もその気持ちは捨ててませんが。
トランペット、という金管楽器で世界に挑戦する若造でした。
その小田少年が憧れて止まない場所。
それが、上野にある「東京芸術大学」でした。
上野公園のほとりに佇む、古い建物。
ここに、中学2年の時から挑んでいました。
そのためには高校生活がただの通過点になることも辞さない覚悟でした。
そんぐらい、トランペットという楽器の素晴らしさに惚れ込んでいたわけですね。
ブランド志向、と言われても仕方ないかもしれませんが、
間違いなく日本最高峰の音楽大学であるこの大学に挑戦しました。
誇張でもなく、ここに入れば、
その年の同年代トランペッターの国内ベスト3の称号が保障される(これはその大学の教授も豪語してました)場所。
完膚なきまでに叩き出されたわけです、俺。
2浪しても叶わなかった居場所。
賞味7年越しの恋は実らず、敗残兵として、地元の大学に入りました。
しかも音楽ですらなく、心理学専攻として。
当時の気持ちはもはや、誰にも分からんでしょう。
俺ですらもう分かんないよ。
そんな場所に、
トランペッターではなく、万貴音の小田貴音としてたどり着いたわけです。
自分で希望したにも関わらず、足取りは重たかった。
うろ覚えの道を歩き、たどり着いた校門。
真っ白になりました。
そして、気づけば泣いてました。
自分の力量を過信したことなど一度もないですが、
その校門の看板は、届かなかった想いを、
押し込めた後悔を、俺にもう一度刻み付けました。
相棒の万貴にそんな姿を見せたかったわけじゃない。
代表という看板はそんなに軽いもんじゃない。
だけど、俺はそこで丸裸にされました。
間違いなく思ったこと。
「ああ、俺はここをあきらめたんだ。負けたんだ。」って。
残念だけど、間違いなくそれは真実だったんです。
思わず、頭を下げました。
でも、そこで湧き上がった言葉は、その続きじゃなくて。
「ここを目指したのは間違いじゃありませんでした。」と、
「今でも俺は、笑いながら、一生懸命音楽やってます。」ってこと。
目指した道は、その進路を変えた。
変えたのは、ほかでもない、俺自身です。
ただ、それをマイナスにとるか、プラスに転じられるかも、俺自身。
誰が示唆したわけでもない道を見つけて、選んだのは俺なんです。
誰にも決められない。
ただ、その発射台を作ったのは、それまでの俺で。
当時の先輩方には、今でも心から感謝してます。
高校時代の先輩には、男はほとんどいなくて、
おかげで、ものっすごいお世話をしてもらいました。
あえて本名出しますが、赤津さん、香川さん。
もうずいぶん会ってませんが、ぶっちゃけると、
このお二方には同級生の何倍もの濃いものをいただきました。
おかげさまで、今もちゃんと本気で音楽やれてますよ。
いつか3人でワケ分からんくなるまで飲みたいです。
もちろん、セッションも。ラッパ2のトロンボーンっつー摩訶不思議な編成ですけど(笑)。
同期のみんなも今は色んな道を歩んでいるようで。
最近みんな結婚しやがってるんで、ちょっとばかし悔しいけどな!
うん、お幸せに!俺もいつかは幸せになるよ!!
今もこんなあぶなっかしくてすまん!
そんなことを一人で考えてると、
相棒の万貴も、アシのHIROKO氏も俺と同じように頭を下げてたりなんかして、
あろうことかHIROKO氏も便乗して号泣してたりして。
俺の私的感傷で引き回したのにも関わらず、何か感じ取られたものがあったみたい。
少々気恥ずかしかったりもしましたが、
改めてこの「チーム万貴音」のありがたさをかみ締めました。
じゃあな、芸大。
次は最初から笑って報告に来るわ。
後半に続きます。