どのステージも大切にするためには。

ライブの何よりの良さは、そこだけでしか味わえないものがあるからです。

一分一秒がリアルだし、一挙手一投足を見られてる、聴かれてる。

やってる側からすれば、30分だろうと1時間だろうと、あっという間に終わります。

時間は全ての人に平等じゃないね。

そう言い切れるぐらい、ライブやってる時は時間が経つのが早いです。



なんですが、その時間を濃いものにするには、やはり準備と調整が必要です。

残念ながら、俺には人間としてのアドリブ能力に欠けてるように感じます。

咄嗟のミラクルは起こせない。決して天才肌ではないのです。

となると、毎回ライブが決まるたびに、早い段階で、

セットリストを決めて、全体の流れを確認して、

体調管理して、練習してってのが必要です。

当たり前すぎる必須事項ですけどね。



が、4月からは特に、ほぼ毎週ライブ。

長い持ち時間をもらえるライブもあれば、一日に複数のステージがあるライブもあり、

さらには4日連続というスケジュールもやってみました。

こうなってくると、二人でする練習時間の割合は減ってしまいます。

個人練習であれば、一日のどっかの時間を使って出来るんですけども、

ユニットであれば、個別の練習とか準備では足らない。

それではユニットである意味がないんです。



幸いなことに、忙しい時ほど二人が顔を付き合わせる時間自体は増えるので、

二人の呼吸はそうそう乱れません。

これは今までの努力の賜物なんでしょうね。

こういう密度のライブラッシュを経験して、大変だと思うことは別の部分でした。



コンディションの管理。そして、モチベーションの維持。

俺が大変だと思ったのはここでした。



精神と肉体は連動して動いています(別に宗教的な意味合いはありません)。

ライブ、楽しいんですけども、やはりごっそりと体力と精神力を削ります。

そりゃー一生懸命だもん、当然ですね。

精神を張り詰めるためには、どこかで緩める時間も必要なわけですけども、

ラッシュになると、その余裕がなくなってくる。

緊張が続くと、体調にも具体的に現れてきます。

曲数云々でカウント出来るものではないんですね。実感しました。

連荘でライブをすると、段々疲労が回復しきれないまま次のステージになるわけです。

で、内容の充実を維持するためには何が大事かというと、モチベーションです。



わざわざ聴きに来てくれたお客さんの心に、自分たちの音楽を刻むにはどうするか。

自分はそのライブで何をしたいか、得たいか。

総じて、音楽やることに楽しさを感じられてるか。

これを見失ったら、喉の調子が良くても、ミスをしなくても、

お客さんのノリが良くても、CDがたくさん売れても、

そのライブはうまくいかなかった、というふうに思います。



楽しむこと、喜びを得ること、馬鹿になることに、いちいち真面目でないと満足できない。

満足するために、自分がどう動いて、どんな気持ちで生きていけばいいか。

言葉にするとなんだか大仰な感じですが、やるべきことは至ってシンプルです。

満足するためにあらゆる努力をする、ということ。

出来なきゃ、本気じゃないよね。



これが俺がほんとにやりたかったことなんだ、って胸を張って言うために、

喜んで心と体を酷使しよう。

俺にとって、最高の快楽です。