ミュージカル「椿の田」を振り返る。

今月22日に公演のあったミュージカル「椿の田」。

行ってきました。



今まで一度も練習に駆けつけることも出来なかったもの。

つい先週までキャストの皆さんともお会いできなかったもの。

ただ、その見えないものに対して、自分の音楽を検討し、ぶつけてきました。



誤解を招く発言かもしれませんが、あえて言いますと、

キャストの皆さんは決して上手くはない。



テレビから流れてこない音楽を覚えて歌うことも、

音程やリズムを崩さずに歌うことも、

膨大な量の台詞を覚え、そこに感情を込めて言葉にすることも、

雲を掴むような、至極大変なことだったと思います。

そりゃそうだ、大方の方がまさか自分がそんなことに関わるなんて、

ついこないだまで思ってもいなかったでしょう。



それでも、くらいついた。

台詞を噛んだらどうしよう、つたなさに笑われたらどうしよう、

そういう、大方の方が避けて通りたいような部分に向き合い、

飲み込んだ。

自分の一部にした。



その事実が、あまりにリアルに自分の胸に迫ってきました。

胸が熱くなった。



少し遅れて、

自分が身を削って生み出した音に乗って、

キャストの皆さんがそこに生きていること、を感じました。

この上ない喜びです。

こんなの、そうそう誰も経験できることじゃない。断言できる。

みんなが、俺の作った音で、曲で、歌ってくれてる。

そして、笑ってんだ。



たいへんな数の老若男女が集まり、ひとつのものを作る。

それのなんと難しいことか。

普段一人ないし二人、少数で動いている自分にとって、

そういった背景は驚愕です。

ぶつかった時も、納得のいかない時も多々あっただろうな。



佐伯の民話を基に、

集まったスタッフが脚本を作り、

音楽を作り、

照明と舞台を作り、

伝統芸能・さまざまな文化を巻き込み、

かけがえのない時間をつぎ込み、

2時間半のリアルを作った。



目の当たりに出来てよかった。

関わることができて、本当に良かった。



ミュージカル「椿の田」に関わったみなさん、

ご来場いただいた皆さん、

応援してくれた皆さん。

ほんとうにお疲れ様でした。

ありがとうございました。



俺もお疲れ様。

おかげさまで、またひとつ、確実に大きくなれた。



歯車は、ゆっくり回り始めました。

この歯車、俺は止めたくないな。

俺はまだ止まりません。